「美容師とは髪の毛をキレイに整え、お客様に喜んでもらえる華やかな職業」
世間ではそのようなイメージがあり、昔から人気の職業です。しかし実際に働いてみると、さまざまな理由で「自分に向いていないのでは」と思い悩む美容師も多いそうです。
そこで今回は美容師を辞める理由と円満退社のコツ、離職後の働き方について紹介します。
美容師を辞めようか迷っている人も、転職して新しい人生のスタートを切ろうと決めた人も、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
美容師を辞めたい主な理由
美容師を辞めたいと思う主な理由は、次の5つです。
- 給与や待遇の問題
- 人間関係でのストレス
- 病気などの体調不良
- お客様からのクレームが多い
- キャリアアップしたい
給与や待遇の問題
美容師を辞める理由で多いのが、給与や待遇の問題です。美容師は国家資格にもかかわらず、他の業種と比べて給与は低めとなっています。
一般労働者の賃金の月額平均が30万7,700円に対し、美容師は25万5,100円です。1ヶ月あたりの月収は5万円程度低く、一年に換算するとおよそ60万円の差が出てきます。
また美容師は労働時間が長く、営業が終わったあとにカットやカラーリングの練習をすることもよくあります。さらに休日は講習会に出るなど、思いのほか拘束される仕事です。
このように給与の低さや長時間勤務が原因で、美容師を続けられずに退職してしまう人もいます。
人間関係でのストレス
人間関係のストレスも、美容師を辞める大きな原因です。人間関係でストレスを感じると仕事のモチベーションも上がらず、美容師を辞めたいと思うようになります。
美容師の人間関係のストレス原因は、次のようなものがあります。
- ・上司からパワハラを受ける
- ・いじめにあう
- ・同僚と意見の違いが生じ、関係がギスギスする
個人経営のオーナーでない限り、スタッフと良好な人間関係を築けなければ、長く仕事を続けることはできません。
美容室は従業員数が少なく、狭い空間での長時間勤務となります。
人間関係をこじらせると逃げ場がなくなり、大きなストレスを受けてしまいます。
病気などの体調不良
美容師は心身の疲労がたまりやすい仕事。体調不良が原因で辞める人もいます。
特に多いのが次の2つの病気です。
腰痛
長時間立ちっぱなしの作業が多い美容師は、腰痛に悩む人が多いようです。
背中を丸める状態が長く続くことも、原因の一つ。特にアシスタントのうちはシャンプーを任されることが多いため、何度も洗っているうちに腰痛を悪化させてしまうのです。
けんしょう炎
美容師はけんしょう炎にもなりやすい職業です。
けんしょう炎とは手首や肘の内側に起こる炎症のことで、炎症箇所を動かすことで痛みやしびれが出ます。
ヘアカットに使うハサミは親指のみを使って動かすので、手首に負担がかかりやすいもの。シャンプーやカラーリング、パーマのロット巻きも、肘や手首を痛める原因となります。
このように美容師は肉体的な負担が大きい仕事なので、体調を崩して辞めてしまう人もいます。
お客様からのクレームが多い
お客様からのクレームがストレスになり、美容師を辞める人もいます。
美容師はさまざまな理由で、お客様からクレームを受けます。
自分のミスで起きたクレームだけでなく、理不尽なクレームが来ることもあるのです。
悪質な場合、脅迫や過度な要求をしてくる人も。
クレーム内容はお客様によってさまざまです。毎回適切な対応ができるとは限りません。
理不尽なクレームが続くと精神的に参ってしまい、仕事が続けられなくなるケースもあります。
キャリアアップしたい
美容師経験が長くなってくると、キャリアアップして独立を目指す人が増えてきます。上司やオーナーの指導を受けるだけでなく、自分のやり方でお客様に満足してもらいたい、自分のお店を持ちたいなどの目標が出てきます。
このように「自分のやり方でやっていきたい」という前向きな思いから、退職する場合もあります。
美容師を辞めて後悔しないために
美容師を辞めて後悔しないために、気をつけたいことを2点紹介します。
- アシスタントは結論を急がない
- 辞める前に情報収集しよう
アシスタントの場合は結論を急がないで
アシスタントは見習い中の身です。仕事が辛いという理由だけで退職するのは、オススメできません。なぜなら辞めた後に転職する場合、採用担当者に「この人は仕事が辛いとすぐに辞めてしまうのかな……」という印象を与えてしまうからです。
今は仕事が辛くても、日々成長することでやりがいや美容師の楽しさを感じられようになることもあるので、結論を急がずよく考えましょう。
ただしあまりにも待遇が酷かったり、上司からパワハラを受けていたりする場合、話は別です。その場合は心が折れてしまう前に、転職・退職するのも一つの方法です。
アシスタントのうちに辞めたいと思った場合は「なぜ辞めたいのか」を明確にして、退職後に後悔が残らないよう、じっくり考えてから結論を出すようにしましょう。
辞める前に情報収集しよう
退職を決意したら、仕事を辞める前に今後の生き方について情報収集しましょう。
情報収集せずに退職すると、転職後に次のような不満が出てくることもあります。
- ・以前の職場よりも、人間関係が悪くなった
- ・労働条件をきちんと確認していないため、待遇が悪くなった
- ・仕事内容が自分に向いていなかった
退職後に後悔しないためにも、在職中に情報をできるだけたくさん集めることが大切です。
転職の情報収集には、以下のような方法があります。
- ・転職エージェントに登録する
- ・転職サイトを探す
- ・ハローワークへ行く
- ・合同会社説明会へ行く
また上司や同僚に相談するのもよいでしょう。自分とは違った考えの人からアドバイスを受けることで、仕事に対する見方が変わったり、視野が広がったりすることもあります。
美容師を辞めた後の人生を充実させるためにも、在職中に多くの情報を集めるのがオススメです。
美容師を退職する際の注意点
美容師を円満に退職する際に気をつけたいことは以下の2点です。
- 辞める際の伝え方に気をつけよう
- 急に辞めるのはトラブルの元
辞める際の伝え方に気をつけよう
辞める際に必ず聞かれるのが退職理由です。退職理由は正直に伝えましょう。うそをついても相手には伝わるからです。とはいえ、思ったことを全て言葉に出すのはNG。
退職理由は正直に言いつつも、相手がイヤな気持ちにならないように伝えることが大切です。そうすることであなたの悩んでいる状況をオーナーが察し、今後も仕事を続けられるように環境を改善してくれる場合があります。
結果的に退職することになっても、きっと快く送り出してくれるでしょう。
社会人として相手に失礼のないよう、思いやりのある言葉で正直に、退職理由を伝えましょう。
急に辞めるのはトラブルの元
美容室を急に辞めると、スタッフやお客様が困ってしまいます。よほど切羽詰まった状況でない限り、退職までの期間を長めにとりましょう。
民法では、職場できまりが定められていない場合「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と定められています。つまり退職の意思を伝えた二週間後には、美容室を辞められるということです。
しかし美容師は引き継ぎが多くあるため、二週間では短すぎます。最低でも3ヶ月ほど前に伝えるとよいでしょう。
退職までの期間でやらなくてはいけないことがたくさんあります。例えば仕入れ業務や顧客管理、お客様の引き継ぎなどです。引き継ぎを丁寧に行うことで、オーナーやスタッフからの信用を失わずにすみます。
立つ鳥跡を濁さず。美容室の運営に悪影響を及ぼさないよう、責任を持って仕事を終えることが大切です。円満退職するためには、早めに退職の意思を伝えるようにしましょう。
美容師を辞めたあとの仕事はどうする?
美容師を辞めたあとの仕事について解説します。
- ・別の美容室に転職する
- ・全く別の業種に転職する
別の美容室に転職する
美容師の仕事が好きで、職場の人間関係や待遇が合わず悩んでいる人は、別の美容室に転職するのもよいでしょう。その際は、転職を希望する美容室についてよく調べておきましょう。
求人情報を読むだけでなく、お客さんとして通うのも一つの方法です。施術を受けながら従業員同士の雰囲気を観察したり、美容師との雑談で職場の内情を聞いたりしてみましょう。
実際に美容室で働いている人に職場事情を直接聞くことで、面接だけではわからない実情が見えてくるものです。
美容師の仕事内容がイヤでなければ、環境を変えてみるのもオススメです。
全く別の業種に転職する
美容師から異業種に転職する人は意外に多いようです。
全く経験のない業種でも、なぜ転職が可能なのでしょうか?それは美容師に接客スキルがあるからです。美容師は接客経験で養われたコミュニケーションスキルが長けているため、別の業種へ転職してもうまくやっていけます。
コミュニケーションスキルは接客業だけでなく、さまざまな業界で役立つスキルです。人の話を丁寧に聞き取り、的確な返しをするのは誰にでもできることではありません。
今までの美容師の経験を生かして、異業種への挑戦も可能です。
新たな業種で、手に職をつけてみませんか?
美容師を辞めたあとで異業種に転職したい場合、どのような仕事に就いたらよいか悩む人もいるでしょう。
美容師は収入の低さが原因で、辞める人が多いと紹介しました。
異業種へ転職を考える際、「美容師は給与が低かったから、収入の高い職業がいい」と思うのではないでしょうか。
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